傘は青春
今週のお題「傘」
今は梅雨。雨が多くなると憂鬱な気持ちになる。
小説などでは、登場人物の気持ちを表現するのに
天気が悪くなる演出が見られるくらい感情と天候の結びつきは強い
そんな雨の日にもいい思い出がある。女の子との話じゃないぞ。
土砂降り、2つの傘
さて、高校時代の話だろうか。だいぶ古い話なので思い出しながら書こう。
あれは私が傘を忘れた日だった。結構な土砂降り。
「うわぁ、駅まで傘なしはきついな」
私がそうささやいたそんな時だった。いつも仲良くしてくれている2人が
傘に入れてくれると同時に言ってきてくれたのだ。
その友達は少し遠くから来てる子で、面識は入学するまで全くなかったが、いい奴ら
だったのですぐに仲良くなれた。私はどっちかを選べずにいた。
すると二人は気を遣ってくれて二つの傘の真ん中に入れてくれた。
そんな2人が好きだった。でも気づいた人もいるかもしれない。
傘と傘の間に僕はいる。するとどうだろうか。濡れてしまう。
2倍濡れてしまう。なんてったって傘2つ分なんだから。
まあ、2倍っていうのは嘘なんだが。
でも少なくとも濡れるのは必至だった。
「あ、濡れちゃうね」
一人がそう言ったが私はこれでいいと言った。
2人は私が濡れないように傘を少しずつ寄せてくれた。
それでも多少は濡れてしまうことには変わりがなかったが、
私には雨の冷たさよりも、人の温かさを感じていたので何とも思わなかった。
雨の中、通学路をあの日3人で歩いたことを私は忘れない。